2022年3月22日火曜日

団塊世代考: 楽観的な期待は無理、鍵を握るのはコロナ禍での「新たな気概」

 ■『団塊の世代とは何か』?

付和雷同しやすい

協調性の欠如し、「自分勝手」

リベラルな価値観を有し、他人の行動に寛容、「いい加減」

残間里江子の「団塊の世代」のイメージ


佐伯啓思は、戦後の日本の歴史・社会サイクルと同調している世代の印象を語っている。

人生を振り返ると悪くもないが、充実感、達成感も手応えがない「元気がない」

戦争体験がなく、権威主義に反発するも観念的で、特有の価値観がなく「中途半端」 

80年代経済成長を「享受」し、豊かさ以上の価値観を提示できず「将来を見誤つた」


自分もその世代の一角担っているので、過去の「団塊の世代」に関する本の探して読んでみた(*)。800万人の数が多いのは明確な点だが、要するに世代の印象やイメージからはそもそも「新しい展開」にはつながらない世代にようだ。



■『それでいいのか 蕎麦打ち男』の結果は?

先日、新聞のコラムで『それでいいのか 蕎麦打ち男』の本(**)を見た。本は、「団塊の世代」が退職を契機に気ままにのんびりした生き方だけに走らないで「社会的な活躍を期待する」、エール込めたものだった。今その後の結果はどうなのかが、問われている。

趣味に走る人を代表して「蕎麦打ち男」として逆転的に世代を命名されたが、実際には好い人の象徴のようにNPOの名前を名刺に刷ることはあっても、世代としての「社会的な活躍の期待」には、結果としてつながっていない。



■コロナ禍の中のチャンス:逆転の発想

今や、さらに後期高齢者対象の段階に至り、「諦めの境地」もあるがもうチャンスはないのだろうか。たとえば、オルテガの世代周期説(***)に依拠すると、2009-21の震災・コロナ禍の12年を踏まえて「特有の価値観」が生まれる。

時間つぶしや見得ではだめ。

とにかく「動け!」。

「今の自分を捨てる気概」を持って欲しい。

それが、人生を積極的に生きるための突破口探しの一助になるのかもしれない。


これは、神の啓示ではない!! 単なる人間の生き方にすぎない。


(*)『共同研究 団塊の世代とは何か』講談社、2008.4

(**)残間里江子『それでいいのか 蕎麦打ち男』新潮社,2005

(***)「世代の12年周期説」:オルテガ「ある大きな出来事を経験することで、それを中心に特有の価値観が生まれ世代が形成される」


#団塊の世代 #蕎麦打ち男 #コロナ禍での生き方


2021年6月29日火曜日


 

自分探しの旅、到着点は
=自分史「アートに生きる」No2=


 新型コロナの第3波の中、2021年3月末に、自分史が出来た。2冊目である。

自分史とは、何か? 

本来、自分史とは「自分自身の歴史」であるから、世間一般には、「自分の半生」を振り返りまとめるタイプのものが多い。しかし、私の場合は、それとは異なり、過去ではなく、今現在自分が何をしようとしているのか、「自分探し」という性格が強いものである。

自分史作成のきっかけは?

 60歳定年で退職した時、これまでと違う新しいことをしたかった。団塊の世代の新たな生き方の追求と掲げたのは、団塊世代が退職後にフリーターとして何をするのかだった。
それまでの自分の生き方、居場所を脱出して新しい自分の生き方、居場所を求めること=「自分探しの旅」に出ることだった。また、それはアーティストのように自らの造形や表現の作品づくりに代えて、私の場合のアウトプットとしてものが自分史である。

さて、どんなアクションを行ったのか

 団塊フリーターとしては、過去の活動歴に親和性の高い三つのレベルの動きから成り立っている。
社会:90年代後半から広がったNPOの組織づくりの支援に関わる。実現したのは「関西宇宙イニシアテイブ(KASPI)」、「まちプロ」、「クロックミックス」などである。
地域:生まれ育ち生活している場所の「まちづくり」に関わりを見つける。しかし、地域に関することは何でもまちづくりであることから、自分の興味関心の強い領域としてアートにドメインを定めることになった。
個人:個人のBlogで活動の発信し、活動のまとめの反応を見る。その後は、Facebookとなり、日々の活動記録の発信につながる。
以上三つは、コミュニテイビジネスにつながる可能性を持っているが、その一つの事例としては「自分史」であった。
その結果は、
No1:10年間のまとめ自費出版
No2.:7年間の大学記録の自費出版。今回は、アマゾンから販売へと進化した。
これが13年の到着点である。おかげで「自分史」制作のノウハウは大分と身に付き、自費出版のビジネス化、即ちコミュニテイビジネスの一つができた。
 

自分史ビジネスという点では、やっとスタート!

 自分史をつくる、制作することが中心で、出版にあったっての販売面での課題の整理が弱かった。販売ルートという言う点では、「ネクパブ」という出版物の販売システムを利用しており、制作・販売・運営という点でのリスクは回避し、アマゾンを利用した委託販売が実現できた。大きな前進だが、無料出版のリスク回避をビジネス面で総括すると、価格設定と制作設計が二つの失敗があった。次の機会があれば是非、クリアーしたいものである。
 しかし、このテンポで行くと事業として動く前に、土の下に眠りそうだが。(^_^)b


<自分史出版の総括>

無料出版のリスク回避では、ビジネス面で価格と設計の次の二つの失敗があった。
■価格:本の値頃感は大切で、2,000円。
印刷原価は1,500円だが、アマゾンでの販売委託費が倍ぐらいに膨れる。今回は、何とか3,000円以下に設定したが、そこまで。
■設計:本の制作設計ミス。
全面カラー→モノクロ化の拡大。
本のタイトル:No.1No.2の区分とこだわり→シンプル。
コンパクト化→ターゲット層を明確に。
以上3つの点で、もっと大胆な整理が必要だった。
■ネクパブ:NextPublishing

<自分史>

著名人などの自叙伝や立志伝に対し、世間一般の人が自分の半生について振り返り、まとめたものを指すことが多い。(goo辞書)

<あとがき>

書籍「アートに生きる」をAmazonから出版しました。 
定年退職後の第二の人生 #団塊フリーター #自分史です。
退職後の生き方やアートに関心のある方に広く紹介してください。
よろしくお願いします。

<keyword>

#アートに生きる
#自分史 #団塊フリーター
#奇想の系譜 #村上隆 #壁画 #現代アート
#地域アート #アートなまちづくり #Anyアート






2017年1月11日水曜日

過疎地の地域創成:A級グルメのまち

過疎地の地域創成の視察ツアー
 6月には、おなん町@島根:「A級グルメのまち」、もののけ姫の世界・吉田町@@島根
 12月には、西粟倉村@岡山:木工加工集積の資源を生かした「100年の森構想」
 次は、「創造的過疎」をアピールする神山町@徳島などにも是非行きたい 。


A級グルメのまち
:島根の赤い屋根の広がる山間のまち邑南おなん町
役所が開設している「食の学校」。町民だれもがA級グルメに携わることをモットーに「A級グルメの町」をめざす島根の山間のまち邑南オナン町。世界料理オリンピック金メダリストを校長によび通年の講座開催。キッズシェフ、和食やお菓子の基本、邑南そばなど色々なテーマで開催。目的は、食農教育や農の六次産業化と共に町の魅力創造発信でもある。守り伝える伝統料理について、今年はレシピ本も作成するという。地域の食資源を生かし、地域創生に戦略的に取り組むスタンスは半端ではない、スゴイ。

里山イタリアンajikuraは、昔の酒蔵の移築したレストランで、石見和牛とポークをメインに色鮮やかな四季の食材が並ぶ素敵な空間である。

広島からもかなりの客を呼び寄せており、山形の奥田シェフで有名なアル・ケッチャーノとも連携した新しいお店AJIKURAが、ついには広島に進出した。当然、どちらも「耕すシェフ事業」の若者が働いており、食と雇用、ビジネス展開と小さいながら広がっている。
このような食からの連鎖は、人口1万1千人の町の観光協会が、職員60名もいるという不思議の光景を生み出している。

赤い屋根が緑の中でひときわ目立つ、山に取り込まれた盆地に広がる一見スイスのような風景。島根県中南部の中山間地、邑南町(オナンOHNAN)である。広島駅から高速道路を車で飛ばすと1時間強で来れる。朝は雲海も見える「おしゃれで優雅な田舎空間」。
地方創生計画の国内でのモデルまちの一つと視察の人が押し寄せた町でもある。5年前にいち早く人口減少の危機感に対応し、戦略を絞り数値目標を設定し計画的にやって来ただけだと、市の担当は非常に謙虚である。


柱の一つは「日本一の子育て村構想」。子供医療費無料、産婦人科、小児科機能の充実、県立矢上高校振興など、役所の中の医療、保健、福祉、就労、結婚・定住支援、教育、生活環境を全て巻き込んで、子育て世代にやさしい住みやすいまちづくりをめざして取り組んだ。人口1万1千人のまちだが、5年間で定住人口は233人となり、200人の目標を突破したそうな。着実にやっている実感が伝わるのが気持ちよい。

地域政策のBooKs:2016

地域政策のBooKs


 昨年、芋ずる式に読んだ本だが、相互の関連性は強く実践的な「地域政策」の実体を読み解いたものだった。次は労働と生活、生き方やライフスタイル「半農半X」・塩見直紀も読んでみたい。

『くだり坂をそろそろと下りる』:時代認識
まことに小さな国が、衰退期を迎えようとしている。」どこかで見たか、聞いた言葉ではじまる。「衰退期」を「開化期」に変えれば、『坂の上の雲』である。司馬遼太郎に代わって劇作家であり演出家・平田オリザが、現代社会に生きる心構えを答えたものである。日本は、もう工業立国や成長社会、アジア唯一の先進国にもどれないという、時代の三つの「寂しさ」に向き合うことを基調にしているが、暗い話ではない。大都市と地方では異なる「人口減少」に切り込んで、今もっとも欠けている文化政策面から楽しさや喜びを生み出す事を提案している。著者曰く『里山資本主義』の文化版だそうだが、同じ新書版で手軽に読めるのも良い。平成の『坂の上の雲』を読んだ気持ちになった。
平田オリザ『下り坂をそろそろ下りる』講談社現代新書2016

『里山資本主義』:地域経済
「世の中の先端は、もう田舎の方が走っている」。それは現在進行形の人口減少社会では、過去の発想を変え「一人一人の相対的な価値の高まる社会」とみれば、もう里山の麓から始まっている。広大な森林、空き家、腐らせている野菜=宝物、役立つ・張り合い=生き甲斐など地域資源を活かし里山の智恵を発揮し「無縁社会の克服」と「地域循環型の経済」を展開すると「2060年の明るい未来」が訪れると著者はいう「地域の赤字はエネルギーとモノの購入代金」、真庭市@岡山では木質バイオマス発電を核にした里山資本主義の先進事例は迫力がある。
藻谷浩介・NHK広島取材班『里山資本主義』角川書店2013

『創造的地域社会』:付加価値を生み出す自立コミュニティ
「過疎」は島根県から起こった。中国山地の3つの空洞化は、人(転出、高齢化)、土地〈耕作放棄地の増大〉、むら(集落機能の後退)で、今やどこの地域にも広がっている。
65歳以上が人口の半数を占め、社会的共同の維持が困難となり、さらに過疎から限界集落に展開。
大量生産・消費・廃棄の経済成長システムから脱却した内発的な経済観を「創造性」や、農村コミュニティの関係性を見直す互恵的な贈与・結の新たな「コミュニティ」、官に依存しない新たな公「自立」などの3つのキーワードで切り結ぶ。商工と農の壁を越える地域・産業政策の邑南町や、農山村を引っ張る「女性起業」などフィールド研究が強み。
松永桂子『創造的地域社会:中国山地に学ぶ超高齢化社会の自立』新評論2012

『地方創成大全』:地域創成手法の見直し
図書館で偶然を見つけた本を一気に読んだ。今年の10月末に出版された『地方創成大全』。タイトルからして地方創成の成功事例集かと思ったが。
話題の「ゆるキャラ」「プレミアム商品券」「道の駅」「ふるさと納税」などが、実体としてほとんどに失敗が多く、地域の活性につながらないのかの原因を「ネタ・モノ・ヒト・カネ・組織」の5つの面からリアルに物語るのが非常に面白い。
著者は、地域で補助金は活用せず、自ら稼ぐ事業を興す「まちビジネス事業家」、役所の人間やコンサルでないのでスタンスが明快。地域モノのバイブルのような本だ。拍手。

木下斉『地方創生大全』2016.10東洋経済新報社