2017年1月11日水曜日

過疎地の地域創成:A級グルメのまち

過疎地の地域創成の視察ツアー
 6月には、おなん町@島根:「A級グルメのまち」、もののけ姫の世界・吉田町@@島根
 12月には、西粟倉村@岡山:木工加工集積の資源を生かした「100年の森構想」
 次は、「創造的過疎」をアピールする神山町@徳島などにも是非行きたい 。


A級グルメのまち
:島根の赤い屋根の広がる山間のまち邑南おなん町
役所が開設している「食の学校」。町民だれもがA級グルメに携わることをモットーに「A級グルメの町」をめざす島根の山間のまち邑南オナン町。世界料理オリンピック金メダリストを校長によび通年の講座開催。キッズシェフ、和食やお菓子の基本、邑南そばなど色々なテーマで開催。目的は、食農教育や農の六次産業化と共に町の魅力創造発信でもある。守り伝える伝統料理について、今年はレシピ本も作成するという。地域の食資源を生かし、地域創生に戦略的に取り組むスタンスは半端ではない、スゴイ。

里山イタリアンajikuraは、昔の酒蔵の移築したレストランで、石見和牛とポークをメインに色鮮やかな四季の食材が並ぶ素敵な空間である。

広島からもかなりの客を呼び寄せており、山形の奥田シェフで有名なアル・ケッチャーノとも連携した新しいお店AJIKURAが、ついには広島に進出した。当然、どちらも「耕すシェフ事業」の若者が働いており、食と雇用、ビジネス展開と小さいながら広がっている。
このような食からの連鎖は、人口1万1千人の町の観光協会が、職員60名もいるという不思議の光景を生み出している。

赤い屋根が緑の中でひときわ目立つ、山に取り込まれた盆地に広がる一見スイスのような風景。島根県中南部の中山間地、邑南町(オナンOHNAN)である。広島駅から高速道路を車で飛ばすと1時間強で来れる。朝は雲海も見える「おしゃれで優雅な田舎空間」。
地方創生計画の国内でのモデルまちの一つと視察の人が押し寄せた町でもある。5年前にいち早く人口減少の危機感に対応し、戦略を絞り数値目標を設定し計画的にやって来ただけだと、市の担当は非常に謙虚である。


柱の一つは「日本一の子育て村構想」。子供医療費無料、産婦人科、小児科機能の充実、県立矢上高校振興など、役所の中の医療、保健、福祉、就労、結婚・定住支援、教育、生活環境を全て巻き込んで、子育て世代にやさしい住みやすいまちづくりをめざして取り組んだ。人口1万1千人のまちだが、5年間で定住人口は233人となり、200人の目標を突破したそうな。着実にやっている実感が伝わるのが気持ちよい。

地域政策のBooKs:2016

地域政策のBooKs


 昨年、芋ずる式に読んだ本だが、相互の関連性は強く実践的な「地域政策」の実体を読み解いたものだった。次は労働と生活、生き方やライフスタイル「半農半X」・塩見直紀も読んでみたい。

『くだり坂をそろそろと下りる』:時代認識
まことに小さな国が、衰退期を迎えようとしている。」どこかで見たか、聞いた言葉ではじまる。「衰退期」を「開化期」に変えれば、『坂の上の雲』である。司馬遼太郎に代わって劇作家であり演出家・平田オリザが、現代社会に生きる心構えを答えたものである。日本は、もう工業立国や成長社会、アジア唯一の先進国にもどれないという、時代の三つの「寂しさ」に向き合うことを基調にしているが、暗い話ではない。大都市と地方では異なる「人口減少」に切り込んで、今もっとも欠けている文化政策面から楽しさや喜びを生み出す事を提案している。著者曰く『里山資本主義』の文化版だそうだが、同じ新書版で手軽に読めるのも良い。平成の『坂の上の雲』を読んだ気持ちになった。
平田オリザ『下り坂をそろそろ下りる』講談社現代新書2016

『里山資本主義』:地域経済
「世の中の先端は、もう田舎の方が走っている」。それは現在進行形の人口減少社会では、過去の発想を変え「一人一人の相対的な価値の高まる社会」とみれば、もう里山の麓から始まっている。広大な森林、空き家、腐らせている野菜=宝物、役立つ・張り合い=生き甲斐など地域資源を活かし里山の智恵を発揮し「無縁社会の克服」と「地域循環型の経済」を展開すると「2060年の明るい未来」が訪れると著者はいう「地域の赤字はエネルギーとモノの購入代金」、真庭市@岡山では木質バイオマス発電を核にした里山資本主義の先進事例は迫力がある。
藻谷浩介・NHK広島取材班『里山資本主義』角川書店2013

『創造的地域社会』:付加価値を生み出す自立コミュニティ
「過疎」は島根県から起こった。中国山地の3つの空洞化は、人(転出、高齢化)、土地〈耕作放棄地の増大〉、むら(集落機能の後退)で、今やどこの地域にも広がっている。
65歳以上が人口の半数を占め、社会的共同の維持が困難となり、さらに過疎から限界集落に展開。
大量生産・消費・廃棄の経済成長システムから脱却した内発的な経済観を「創造性」や、農村コミュニティの関係性を見直す互恵的な贈与・結の新たな「コミュニティ」、官に依存しない新たな公「自立」などの3つのキーワードで切り結ぶ。商工と農の壁を越える地域・産業政策の邑南町や、農山村を引っ張る「女性起業」などフィールド研究が強み。
松永桂子『創造的地域社会:中国山地に学ぶ超高齢化社会の自立』新評論2012

『地方創成大全』:地域創成手法の見直し
図書館で偶然を見つけた本を一気に読んだ。今年の10月末に出版された『地方創成大全』。タイトルからして地方創成の成功事例集かと思ったが。
話題の「ゆるキャラ」「プレミアム商品券」「道の駅」「ふるさと納税」などが、実体としてほとんどに失敗が多く、地域の活性につながらないのかの原因を「ネタ・モノ・ヒト・カネ・組織」の5つの面からリアルに物語るのが非常に面白い。
著者は、地域で補助金は活用せず、自ら稼ぐ事業を興す「まちビジネス事業家」、役所の人間やコンサルでないのでスタンスが明快。地域モノのバイブルのような本だ。拍手。

木下斉『地方創生大全』2016.10東洋経済新報社

2016年12月30日金曜日

100年の森に挑戦:暮らしとモノの素材

 



岡山県の最北東端に位置し、兵庫県と鳥取県と境を接する山間、村の約95%が杉や檜など山林の村に、12月上旬伊賀のグループの ARTツアーに連れて行ってもらった。

山の中の家具ショールーム:「木工房ようび」

 ぐるっとまわり360度山に囲まれた一軒家が「木工房ようび」ショールーム。木の素材を生かした究極のデザイン家具、るお値段も高いが気に入った買いたいというフアンが多いのもうなずける。オーナーは、暮らしとモノの素材が生まれ森林=「100年の森」に共感して長野から村に移住したという。


地域商社「森の学校」:廃校になった木造小学校が拠点

「フレル木工」若い青年が奥さんと移住。教室の一つに木材加工の機材を設置し、自分で木をデザインしながら新しい木工品を造りに励んでおり、奥さんの飲食店で販売もしているそうだ。
「木工mori-no-oto」は、「木をたたく、こする、共鳴させるといった楽器の原型」を活かし、木の楽器と音の出るおもちゃを創っている。大手メーカーを退職し、大阪枚方の家具団地で自営してから、村に引っ越してきた。制作と通信販売とワークショップを運営し、「暖かな音色につつまれ、自然と人間が支え合う素敵なくらし」をめざしている。










住民の10%が移住者:地域経済の再生と循環に挑戦

 人口1500人だが、最近の移住者が10%にも増え全国的にも注目されている。なぜか、というと村が2008年に発表した「百年の森林構想」。約50年前に植えられた木を、村ぐるみであと50年管理し、100年の森林に育てようというもの。村が共同で管理するため、「共有の森」のファンドや、「ニシアワー製造所」の製材加工を作った。さらに、地域商社「森の学校」を設立し、家具や木工品制作の人を村に呼び込み木材商品化ビジネスの裾野を広げるため、廃校になった木造小学校を拠点に事業を進めている。
森林所有者が個別に対応では衰退する林業の再生できないことから、村の保有する最大の資源「100年の森」を活かし、地域経済の再生と循環に挑戦する多彩な取組みに拍手を。

岡山ARTツアー:APP from IGA:20016年度研修旅行
:備前焼・閑谷学校・奈義町現代美術館・西粟倉村
念願が叶って、山間のまちの「奈義町現代美術館」にも行け幸せや。
西粟倉村(にしあわくらそん)
    村が森林管理:村が森林所有者から合意をとりつけ、間伐などの森の管理業務をまとめて行えるようにしたこと。
    森林管理ファンドの創成:「共有の森ファンド」というファンドを立ち上げ、15万という小口投資に限定した投資家という支援者を増やし、森林管理にかかる費用を捻出したこと。
    木材加工施設の運営:森から出た材を地元で加工できる施設「ニシアワー製造所」をつくり環境を整え、生産から販売まで林業の六次産業化を地元で行えるようにしたこと。
地域が主体的に、森林等の地域資源の活用と地域のお客様づくりに取り組むために、西粟倉村民76名、西粟倉村、(株)トビムシが株主となり、200910月に設立。
廃校になった木造校舎の影石小学校を拠点に、木材加工施設「ニシアワー製造所」を通じて、西粟倉村の森から生まれる家具や木工品などの展示販売や、モデルルームなどを設置、
木工教室や各種イベント・ツアーなどの実施、カフェスペースの運営など、
西粟倉村の森と人々の生活とをつなぐための事業を行いっている。(年商2億円程度の事業規模)